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過払いって何?


 債務整理の依頼者が、弁護士との最後の打ち合わせを終え、ニコニコしながら帰って行きました。

弁護士
 うさ子君、この事件は今日で終了なので、依頼者の口座に○○万円振り込んで下さい。

うさ子 先生、ちょっと待って下さい!なんで借金を整理してあげた人に、うちがお金を払うんですか?気は確かですか?

弁護士 ああ、この人は貸金業者にお金を返しすぎてたんだよ。それを取り戻したから返してあげるんだ。ちゃんと費用はもらっているから大丈夫。

うさ子 払い過ぎなんていうことがどうして起こるんですか?信じられない!

弁護士 利息のせいだよ。利息制限法という法律で決められている有効な利息は年18%(100万円以上は15%)まで。それなのに多くの業者は20〜29.2%の利息を設定している。

うさ子 えーっ、それじゃぁ違法じゃないですか?

弁護士 出資法という法律が一定の条件の下で年29.2%までの利息を取ることを認めてるんだけど、それを適用できる貸金業者はほとんどいない。ところが、出資法の利息を超えると罰則があるんだけど利息制限法には罰則がない。だから貸金業者は、利息制限法の利息よりも大きくて出資法よりも小さい利息を設定してるんだ。

うさ子 年18%の利息しか払わなくていいのに29%も払うってことは、えっと…

弁護士 利息ばかり払って元本はなかなか減らない。長く借金を続けている人は、年18%の利息で計算すればとっくに完済してるのに、それ以後も返済させられている可能性がある。だから過払いが起こるんだよ。

うさ子 それを業者から取り戻したんですね?その交渉は自分ではできないんですか?

弁護士 なかなか本人が言っても難しいと思うよ。計算し直すこと自体がなかなかできないからね。弁護士や司法書士に任せた方が成功しやすいし、何より催促や取り立てが止まる。過払い金を返さない業者に対しては訴訟もしなければいけないし。

うさ子 頼りになりますねえ。

弁護士 さっきの依頼者は10年ぐらい前から借金しだして、うちに相談に来たときにはサラ金8社に合計500万円ぐらいの借金があったんだけど、半分以上の業者に過払いがあったから、結局トータルでも過払いになった。これは極端な例だけど、債務整理をすれば過払いにならないまでも、借金の額は相当減るはずだよ。

うさ子 500万円の借金がなくなった上にお金までもらえるなんて、素敵な話ですねえ。私も借りてみようかな・・・

弁護士 不謹慎なこといっちゃあだめだよ。これは長い間、まじめにお金を返していた人のだけの話。