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弁護士は悪人の味方?


うさ子 最近、テレビを見ていると本当にひどい事件が多いですよねえ。弁護士はどうして悪い人の弁護をするんですか?

弁護士 よくされる質問だね。

    ・・・うさ子君、このコップを上からみるとどんな形に見える?

うさ子 そんなの丸に決まってますよ!

弁護士 横から見てごらん。四角でしょ。

うさ子 それが今の話に関係あるんですか?

弁護士 日常生活を例にとってみよう。うさ子君が何かをやらかして非難された場合、常に自分が100%悪いと思う?

うさ子 うーん、「半分は私が悪いけど半分はあなたのせいでしょ」とか、「この部分は別の人のせいなのに」とか思うこともあります。

弁護士 そんな事情はよく調べないとわからないでしょ。誰かが「うさ子がやらかした!」と関係ない人に言ったりするよね。それを聞いた人は、「うさ子って悪いやつだなあ。これはうさ子が全面的に悪い」って思うでしょ。

うさ子 そんなのイヤです!私にもやらかした事情というものがあるんです!皆さん、私の言い分もちゃんと聞いて下さい!

弁護士 刑事事件でも同じだよ。警察は犯人を捕まえたり証拠を集めるのが仕事だし、検察官は犯人として裁判を受ける人を有罪にして処罰してもらうことが仕事だ。また、マスコミの報道は、主に警察や検察官の発表したことがもとになっていて、容疑者側の事情はあまり報道されない。悪い面ばかりがどんどん報道される。たとえば「うさ子、計画的な犯行!」、「冷酷な女、うさ子。」とか。

うさ子 ううう・・・

弁護士 そこで弁護士の出番だよ。

うさ子 先生、助けて下さい!

弁護士 確かにうさ子君は悪いことをした。でも仮に相手にも原因の一端があり、その非の割合が7:3くらいなら、うさ子君が100%悪いという前提で裁かれるのはおかしい。
コップの形と同様、事件もいろんな方向から見ないと全体像はわからないよ。検察官が「丸に決まってる」というのを、「こう見ると四角でしょ」というのが弁護士の役目なんだ。

うさ子 そうか、私、犯罪者は100%悪いから弁護なんて必要ないって思ってたんだ。

弁護士 それから、刑事事件には無罪を争う事件だってある。捜査するのも裁判をするのも人間だから100%間違いがないということはあり得ないよ。

    ・・・ひょっとして、僕が刑事事件の弁護をするのを見て、悪徳弁護士だと思っていたの?。

うさ子 ・・・はい。でも横から見たら、いい弁護士でした!