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逮捕されたら・・・


弁護士 今回は刑事事件の流れを見てみよう。もちろんうさ子君が被疑者ね。

うさ子 どうしてですか!こんな天使のような娘をつかまえて被疑者なんて!

弁護士 被疑者役をやった方がよく頭に入るでしょ。

うさ子 それもそうですねえ・・・

弁護士 まず、テレビや新聞では「容疑者」とか「被告」という言葉が使われてるけど、法律用語では、「被疑者」「被告人」が正しい。被疑者というのは警察や検察の捜査の対象になった人、被告人というのは捜査の後、裁判にかけられた(起訴された)立場の人のことを指すんだ。「被告」というのは民事裁判で訴えられた側の人のこと。民事裁判の依頼者でときどき被告とかかれておこっちゃう人がいるけど・・・。

それはさておいて、うさ子君の被疑事実(容疑)は・・・

うさ子 罪名は、この美貌を使った結婚詐欺で行きましょう。

弁護士 ・・・・・・・はい、じゃあうさ子君、警察に逮捕されました。どうなると思う?

うさ子 警察による連日の厳しい取り調べが待ってるわけですね。

弁護士 じつは、警察での取り調べは逮捕から48時間までなんだよ。

うさ子 弁護士を呼んでもいいんですよね。でも、弁護士の知り合いがいなければどうするんですか?

弁護士 私選弁護人紹介制度(当番弁護士制度)というものがある。逮捕後にもし弁護士に相談したいことがあれば、最初の1回だけは無料で弁護士の面会を受けられるんだよ。その後も引き続き依頼したければ基本的に自費だけどね。

うさ子 弁護士にも相談できるし、取り調べはたった2日でしょ?じゃあ私、ゲロらない・・・いえ、自白しない自信がありますわよ。

弁護士 ところが2日で終わりじゃないんだ。警察での取り調べを終えた被疑者は、今度は検察に送られる。そこで検察官が必要だと判断すると裁判所に勾留を請求する。裁判所が勾留を認めると、最長20日間(本来は10日間)身柄拘束が続くんだよ。

うさ子 2、20日!・・・私がやりました!

弁護士 合計23日もの長期の拘束はえん罪の原因にもなり問題があるんだけどね。不幸にもえん罪で捕まってしまった場合はすぐに弁護士を呼んで欲しい。警察や検察は被疑者が犯人だという前提で取り調べて有罪にするための供述調書をつくることが仕事だからね。黙秘権があること、供述調書に誤りがある場合には訂正してもらったり署名指印を拒むことは忘れないで。

うさ子 はい、頑張ります…って今回は私、やっぱりやってたんでした。この美貌で。

弁護士 ・・・うさ子君も認めたことだし、検察は起訴しました。すなわち裁判になり、うさ子君は被疑者から被告人になりました。

うさ子 ここからやっと裁判ですか。

弁護士 さあ、えん罪だったらもちろんのこと、罪自体は認めてても弁護士に弁護を依頼した方がいい。刑事裁判の手続もよくわからないだろうし、被告人にとってはどんな処罰(刑)になるかは重要だからね。弁護士は自費で依頼してもいいし、経済的に苦しい人は国選弁護人をつけてくれるよ。

うさ子 先生、お金はありませんがよろしくお願いします!

弁護士 それじゃあまず身柄拘束を解いてもらおう。逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合は保釈してもらえる可能性がある。…と思ったけど保釈金が必要だから無理みたいだね。

うさ子 そんなあ!あと何日入っていればいいんですか!

弁護士 次回は刑事裁判の流れを説明するから、とりあえずそれまで入ってなさい。