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「パクる」とどうなる?


うさ子 先生!このコラム、次回で最終回という噂ですけど?

弁護士 ・・・体力の限界!

うさ子 そんな微妙なものまね誰もわかりませんよ。で、本当の理由は何なんですか?

弁護士 うん、主なところは一通り話し終えて、そろそろネタ切れになってきたからね。

うさ子 ウェブサイトで似たような企画を見たことがありますよ。そこからネタをいただいちゃえばまだまだ続けられるんじゃないですか?

弁護士 それは著作権法違反。

うさ子 ウェブサイトの文章なんてどうせ著作権登録なんかしてませんよ。

弁護士 著作権は登録なんか不要で、何かを創作した時点で自動的に発生するんだよ。

うさ子 えっ?確か特許権や商標権は東京特許許可局に出願して登録されないと発生しませんよね。

弁護士 うん、特許権や商標権は登録が必要だけど、出願先は特許庁だよ。

うさ子 じゃあ著作権も調布著作庁とかに出願しないと。

弁護士 著作権も特許などと同じ知的財産権の仲間だけど、著作物は無数にあって今この瞬間にも発生している(例えばテレビ番組)。簡単に登録できるようなものではないからね。

うさ子 そうなんですか。創作した時点で発生するなら、えーと、「私の美しさの秘訣はベータカロチン」。これでこのフレーズには私の著作権が発生しましたよね。

弁護士 著作物の定義は「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」。今のは思想または感情と言えなくもないけど、よくあるフレーズを組み合わせただけで創作的じゃないし、文芸とも言えないから、著作権は発生しないと思うよ。

うさ子 ちぇっ。なかなか難しいんですね。ところで、どういう行為が著作権の侵害に当たるんですか?

弁護士 文章(例えば本、ウェブサイト、メール)や音楽(CD、着メロ)、映像(テレビ番組、DVD)を、無断で不特定者に公開することや、個人的に使用する以外の目的でコピーすること。

うさ子 今回先生がやろうとしたのは、ウェブサイトの文章をパクってフリーペーパーで公開することだから、ああ、完全にアウトですね。

弁護士 やろうとしてないって!

うさ子 じゃあ、著作権を侵害するとどうなるんですか?

弁護士 著作権法違反の罰則は、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金だ。

うさ子 きゃああ!10年、1千万円!

弁護士 さらに民事訴訟で、損害賠償や不当利得返還の請求を受ける可能性がある。

うさ子 ぎゃあああああ!損害賠償、不当利得返還請求!・・・でも、著作権は何年かで消滅するって聞いたことありますよ。待っていて、消滅したものをパクれば・・・

弁護士 日本の著作権の期限は、著作者の死後50年(物によっては公表後50年)。欧米にならって70年に延長する動きもある。待つかい?

うさ子 ・・・体力の限界!次回、最終回です!